こんにちは、日本画家の深町聡美です。
今回は2024年5月に新発売された
「ホルベイン透明水彩絵具 グラニュレーティングカラーズ」
を実際に使ってみてレビューしていきます!
色見本、使って描いた絵の画像たっぷりで紹介しますので、ぜひ最後まで読んでいただければ嬉しいです!
ホルベイン透明水彩の分離色「グラニュレーティングカラーズ」とは?
「グラニュレーティングカラーズ」はホルベインから販売された最新の絵具シリーズ!
花鳥風月の名が付けられたオシャレな色が特徴で、2024年5月現在、全24色が展開されています。
その一番の特徴は、
- 色が分離すること!
赤の中に黄色が分離したり、ツブツブした質感になったりするんです。
このような特徴の絵具は、日本では「分離色」と呼ばれています。
グラニュレーションとは元々「粒状化」の意味です。
ツブツブになる絵具ということですね。
日本では粒状化とは別に「分離色」と呼び分けているんだね。
現在は24色セット販売と各色バラ売りとなっています。
ホルベイン透明水彩の分離色「グラニュレーティングカラーズ」色見本一覧
ここからはホルベイン透明水彩「グラニュレーティングカラーズ」全24色の色見本を見てみましょう!
そして「グラニュレーティングカラーズ」を三色ずつ使って、描いてみたのがこちら。
普通の絵具では表現できない、ムラ感がある色が特徴的ですね。
また、花鳥風月チックな色名だけあって上品な色味です。
発色は良いのにギトギト感がなく、水彩初心者さんも簡単に自然で繊細な絵が描けそうですね!
みんなはどの色が好き?
個人的には「暁」「カケス」が使いやすいと感じました。
次は三色ずつピックアップして、
より詳しく色を見ていきましょう!
アキクサインコ・ノウゼンカズラ・サクラーホルベイン分離色「グラニュレーティングカラーズ」
アキクサインコ:ホルベイン分離色「グラニュレーティングカラーズ」
アキクサインコ、ノウゼンカズラ、サクラは赤系中心の絵具です。
アキクサインコはその名の通り、赤と黄色に分離する色!
一時期水彩界隈を風靡した「ホラダムの分離色」にはなかった組み合わせです。
濃く塗ったときは朱色になりますが、薄めると徐々に黄色が見えてきます。
ノウゼンカズラ:ホルベインの分離色「グラニュレーティングカラーズ」
ノウゼンカズラはオレンジ色をした花の名前です。
鮮やかで透明感あるオレンジではなく、少し白みがある不透明な色なオレンジ色をしていますが、絵具のノウゼンカズラもまさにそんな色!
アキクサインコよりオレンジ色に近く、黄色との馴染みがいいですね。
人物の肌の色にも使えそうです!
サクラ:ホルベインの分離色「グラニュレーティングカラーズ」
サクラはピンクの中にピンクのツブツブが交じる感じ。
はっきりと色が分かれるのではなく、粒が際立つタイプの分離色です。
桜のように柔らかな色にぴったりですが、少し溶かしにくい印象でした。
分離色のアキクサインコ、ノウゼンカズラ、サクラだけで描いてみた!
- アキクサインコ:インコ
- ノウゼンカズラ:背景
- サクラ:大きい紅葉
インコの羽あたりが意図せず若干立体的になりました。
粒子が際立つことで、立体感も表現しやすくなるんですね!
フラミンゴ・月食・ススキーホルベイン分離色「グラニュレーティングカラーズ」
フラミンゴ・月食・ススキは赤から黄色系の色!
実物はもっと彩度が高いです。
フラミンゴ:ホルベインの分離色「グラニュレーティングカラーズ」
フラミンゴは、蛍光オレンジに濃い赤が浮かび上がる絵具です。
とはいえ、蛍光オレンジは朱色に近く、本物のフラミンゴのような鮮やかな色彩です。
鮮やかなオレンジの中に赤の粒が見えます。
月食:ホルベインの分離色「グラニュレーティングカラーズ」
赤と黄色を混ぜたような赤系の絵具です。
ブラッドオレンジのような南国フルーツ色で、ちょっと美味しそうですね。
水彩境界にはうっすらと黄色が見えています。
まさに月食のような赤い月をイメージさせる色です。
ススキ:ホルベインの分離色「グラニュレーティングカラーズ」
ススキは山吹色に赤が混じったような色!
写真では明るく見えますが、かなりしっかりとした山吹色です。
赤が浮かび上がるので、秋の枯れ草や茶色がかった植物など、秋らしい植物に合う色ですね。
赤の顔料をコントロールして葉脈に沿って塗ると細かい植物が描けそうです!
分離色のフラミンゴ、月食、ススキだけで描いてみた!
- フラミンゴ:月
- 月食:空
- ススキ:ススキ
今回は月食とススキの名に則って、月食の夜を描いてみました。
フラミンゴで月を、月食で空を塗っていますが、写真のせいで色の違いが出ていません。
実際はフラミンゴがビビッドなオレンジで、月光は濃い赤になります。
ススキは実際に塗ってみると赤の顔料はあまり目立たず、黄色と赤が綺麗に混じった複雑な色味になりました。
満月・ウグイス・ミモザーホルベイン分離色「グラニュレーティングカラーズ」
満月:ホルベインの分離色「グラニュレーティングカラーズ」
満月は黄土色に緑が混じったような色です。
夜空に煌々と浮かぶ白い満月というより、落ち着いた色をしていますね。
明確に別の色が分離しないため、色のコントロールがしやすい印象でした。
ウグイス:ホルベインの分離色「グラニュレーティングカラーズ」
ウグイスは黄色がかった抹茶色。
こちらも明確に別の色が浮かび上がる感じではありません。
そのため、
「くすんだ色を使いたいけど、分離色は苦手」
という方にも使いやすい絵具です。
薄めると水彩境界が黄色く発色します。
ミモザ:ホルベインの分離色「グラニュレーティングカラーズ」
ミモザはその名のとおり、春の爽やかさを感じる絵具です。
実際は少し青みがある緑に、黄色が散っています。
春の野原、植物にぴったりの色と言えますね。かなり人気が出そうだと感じました。
ただ、絵具が溶けにくく、濃い色にしにくいです。
分離色の満月、ウグイス、ミモザだけで描いてみた!
- 満月:岩
- ウグイス:背景
- ミモザ:クマ
満月、ウグイス、ミモザの三色で描きましたが、やはりミモザが明るい印象ですね。
クマの輪郭や影などは、二、三回重ねて発色させています。
一方、ウグイス、満月は溶かしやすく、一度塗りで濃くできました。
色幅が広いのは良いですね!
深い森・クジャク・大海ーホルベイン分離色「グラニュレーティングカラーズ」
深い森:ホルベインの分離色「グラニュレーティングカラーズ」
「深い森」は寒冷地の厳しい森ではなく、ジブリちっくな豊かな森をイメージさせる色ですね。
ミントグリーンに黄緑がうっすら見えています。
ファンタジックな森にはぴったりな色ですが、少し不透明に見えます。
自分の画風に合うか確認してみるのが良いでしょう。
クジャクーホルベインの分離色「グラニュレーティングカラーズ」
クジャクはターコイズブルーに緑〜茶色が混ざる色。
かなりリアルな孔雀の羽の色だなと思いました。
濃く塗ると緑が強くなるので、青系のモチーフだけではなく、植物にも使えそうです。
池などの表現にも使いやすそうですね!
大海ーホルベインの分離色「グラニュレーティングカラーズ」
大海は青緑系の鮮やかな絵具です。
爽やかな夏の界面を想起させますね。
濃く塗ると深い青緑になるのも素敵です。
分離色の深い森、クジャク、大海だけで描いてみた!
- 深い森:枝
- クジャク:ヤマネ
- 大海:背景
「深い森」は重ねて塗ると、ビリジャン風味な濃い緑になりました。
薄塗りのミントグリーンとは違う発色になるんですね。
クジャクは緑の分離がはっきりしているので、動物や自然物のような、ムラが多いモチーフに向いていそうです。
大海はクジャクほど分離がはっきりしていませんが、その微妙な色の差で、海面のゆらぎを表現できそうです。
ヒスイカズラ・宵・クレマチスーホルベイン分離色「グラニュレーティングカラーズ」
ヒスイカズラ:ホルベインの分離色「グラニュレーティングカラーズ」
ヒスイカズラは真っ青な花の名前。
実物のヒスイカズラのように鮮やかな水色が特徴です。
ターコイズブルーに紫の組み合わせで、人気が高そうな色ですね。
宵:ホルベインの分離色「グラニュレーティングカラーズ」
宵はシンプルな群青色!
ですがグラニュレーション独特な質感が、色に深みを生み出しています。
通常の群青色よりもムラが出しやすいので、朦朧体のようなふんわりとした夜景を描きやすそうです。
水分多めで、ぼかしながら使ってみたい色の一つですね。
クレマチス:ホルベインの分離色「グラニュレーティングカラーズ」
クレマチスは紫が美しい絵具です。
こちらも実物の花を思い起こさせる鮮やかな紫、そして浮かび上がる黄色がリアルです。
黄色と紫は一見使いにくそうな組み合わせですが、
複雑な色味が植物や自然物にぴったりですね。
分離色のヒスイカズラ、宵、クレマチスだけで描いてみた!
- ヒスイカズラ:犬の輪郭、影
- 宵:背景
- クレマチス:犬の色
ヒスイカズラを影に用いたところ、薄い影は青、濃い影は紫と、塗り分けることができました。
はっきり分離する絵具は濃淡で様々な表現ができる所が良いですね。
背景に使った宵は、夜空のような、濃淡のグラデーションを活かせるモチーフだとさらに魅力が増しそうです。
クレマチスは、意外と黄色が目立たず使いやすいかったです。
地球照・薄明・暁ーホルベイン分離色「グラニュレーティングカラーズ」
地球照:ホルベインの分離色「グラニュレーティングカラーズ」
地球照は赤紫と群青のコラボ。
かなり繊細なグラデーションで、宇宙の神秘を感じます。
濃く塗っても、紫の中に赤や青が見える、面白い絵具でした。
分離色が苦手な方でも使いやすい色ですね。
薄明:ホルベインの分離色「グラニュレーティングカラーズ」
薄明は淡い赤紫。
岩絵具にこんな色があったような気がしましたが、何色か思い出せずにモヤモヤしています。
最初はピンク系かと思いましたが、実際に使ってみると赤紫の粒子が濃く浮かび上がりました。
暁:ホルベインの分離色「グラニュレーティングカラーズ」
暁は茶色に青が混ざったような色です。
シンプルに茶色として使えそうですが、
薄く混じる青が複雑な発色を生んでいます。
自然物など、単色で描くと単調になるモチーフに使いたいと思いました。
茶色がメインなのでさまざまなものに使えそうですね。
分離色の地球照、薄明、暁だけで描いてみた!
- 地球照:背景
- 薄明:影
- 暁:輪郭、模様など
画像では薄明と暁の違いが分かりにくいですが、薄明は紫が強いです。
また、暁も全体的に、より茶色っぽくなります。
このあたりの色はホラダムの人気色「ツンドラシリーズ」に近い色です。
より溶かしやすく発色が良いので、こちらも試してみてください!
カケス・朧月・ルリタマアザミーホルベイン分離色「グラニュレーティングカラーズ」
カケス:ホルベインの分離色「グラニュレーティングカラーズ」
カケスは赤紫系の茶色と青の組み合わせです。
少しホラダムのギャラクシーっぽい色をしていますね。
都会の夜景のような暗い有彩色で、ちょっとエモいです。
刺さる方も多そうな絵具ですね。
個人的には「グラニュレーティングカラーズ」の中で一番好きな絵具です。
朧月:ホルベインの分離色「グラニュレーティングカラーズ」
朧月夜は黄緑色っぽいグレーです。
黒よりもグレーに近いので説明が難しいですが、
湿度を感じさせる夜のような色です。
画像では無彩色に見えますが実際は黄色〜黄緑が混じります。
ルリタマアザミ:ホルベインの分離色「グラニュレーティングカラーズ」
ルリタマアザミは濃い青緑といった感じの色です。
基本的には青緑ですが、なんとなく黄色みも感じます。
(気のせいかもしれません)
こちらはカケスや朧月と違い、はっきりと色が分離しないタイプ。
粒子感あるマチエール(物質感)が魅力的ですね。
色がはっきり分かれない分、扱いやすいともいえます。
分離色のカケス、朧月、ルリタマアザミだけで描いてみた!
- カケス:輪郭、体色
- 朧月:影
- ルリタマアザミ:背景
実際に使ってみたところ、薄めたカケスは紫っぽい色になりました。
朧月は青緑系のグレーの中に黄色がはっきりと見えますね。
ルリタマアザミは粒っぽさが強めで、面白いマチエールが出来上がっています。
意外にも、朧月が影として使いやすかったです。
ハシビロコウ・月夜・雨夜の月ーホルベイン分離色「グラニュレーティングカラーズ」
ハシビロコウ:ホルベインの分離色「グラニュレーティングカラーズ」
ハシビロコウは、確かに納得してしまうようなハシビロコウカラーです。
ちょっと青みがあるグレーですね。
霞がかった色で、個人的に好きな色の一つです。
月夜:ホルベインの分離色「グラニュレーティングカラーズ」
月夜はハシビロコウと同じくブルーグレー系。
ですが群青の発色が良く、また、全体的に青墨っぽい色味です。
絵墨シリーズにありそうな色だと思いました。
濃く塗った際はかなり黒に近い色になります。
雨夜の月:ホルベインの分離色「グラニュレーティングカラーズ」
雨夜の月はハシビロコウが少し赤っぽくなった印象の色です。
赤系のグレーの中に、月夜と同じ群青が点々と浮かびます。
意外と発色がいいので、墨風のイラストにも使えるかもしれません。
分離色のハシビロコウ、月夜、雨夜の月だけで描いてみた!
- ハシビロコウ:背景
- 月夜:輪郭、体色
- 雨夜の月:影
ハシビロコウはグレー系色ですが、溶かしやすく、濃く塗るのも簡単です!
背景の樹木のように黒に近い色にもできます。
月夜は群青がはっきり目立つ色でした。
濃く塗ると墨のようにもなりますが、やはり魅力は薄塗りのときの群青だと思います。
雨夜の月は染料インクのような複雑で繊細な色味。
粒子が細かいのか、ボコボコのマチエールができるというより、
インクのような細かいグラデーションができる感じでした。ホルベイン透明水彩「グラニュレーティングカラー」でうまく分離させるコツ
まとめー「グラニュレーティングカラーズ」 ホルベイン透明水彩 待望の分離色!色見本とレビュー
以上、ホルベインの新色シリーズ「グラニュレーティングカラーズ」の紹介でした!
人気の粒状化&分離色の絵具ですが、なかなか発色を想像しづらいですよね。
今回の記事で、
- 濃いときの発色
- 薄いときの発色
- 分離するのか、しないのか
などが少しでも伝われば何よりです!
ビビッときた色があれば、ぜひ購入して制作に活かして下さいね!